ある日の出来事

システム

これまで何回か触れましたが、アメリカと日本の医療に決定的な差があるとすれば、それはシステムの違いだと考えています。でもどこが違うのか具体的に説明してみろといわれると、困ってしまいます。人を育てるシステム、教育システム、危機管理システムなどたくさんあると思いますが、私の知り限りの2,3の例に触れてみたいと思います。

組織にとって重要なものはいくつかあるでしょうが、その中の一つは人材だと思います。どう確保し、どう育てるのか。脳神経外科のレジデンシーの数は決まっているので、いかにして優秀な人材を確保するかにどのプログラムディレクターも苦心しています。1年の外科インターンの後、脳神経外科レジデントの生活が始まりますが、PGY2,3は主に病棟業務と救急のfirst callを割り当てているプログラムが多いようです。最近では80 hours ruleのおかげでレジデントの人権は守られ、カンファなどの教育的機会に参加する時間が増加しているという報告がありました。
レジデントならそれぞれの学年に応じた目標があり、業務内容が明確に決められています。もちろんAttending、fellow, nurseその他医療関係者それぞれの役割がきちっと決められていて、レジデントが出来る仕事をAttendingがやれば、早く正確に出来上がるでしょうが時間の使い方としては間違っていると考えられています。本来の業務を遂行するためにそれをサポートする人材が確保されているのが特長でしょうか。”人が足りないから、先生患者さんを検査室に迎えに行ってきて”等と言われていた日本を懐かしく思います。
先日、食事をご一緒した人から聞いた話。アメリカの農業界の話なのですが、お役人はお役人の、現場は現場の論理で話をするため温度差が生じうまくいかない事が多いようです。どこの世界も一緒なんだなあ、という感想を持ちました。アメリカではこれをどう解決しているかというと、両者の中間に立つ人を育てているのだといいます。つまり農業の現場出身の、あるいは現場で研修を受けた人がMBAなどを取得し、両者の橋渡しをするとの事でした。最近医療界でも臨床を経験した医師がMBAを取得したりして、病院のマネージメントに参加することが増えてきているようですが、このような人材を確保することがこれからは重要なのではないでしょうか。

システムは医療制度、保険制度、歴史、文化などをどがえしして考えるわけにはいきません。つまり、アメリカのシステムが良いからといってそれをそのまま日本に押し付けてもうまくいきません。社会に溶け込むようどう融合するかが問題です。
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by ny402 | 2006-07-13 09:00 | medicine
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小児脳神経外科医が綴る日々雑感
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