ある日の出来事

2005年 09月 26日 ( 1 )

どっちが先か

夏休みを利用して来年のレジデント候補の医学生が見学にきている。先週も一人の学生さんが手術を見学していた。
モンロー孔付近にできた腫瘍のため、モンロー孔が閉塞され片側性の脳室拡大が起きている症例。手術は内視鏡を使って、腫瘍のバイオプシーと左右の脳室に交通をつけるセプトストミーを目的にしている。そこで問題。バイオプシーとセプトストミー、どちらを先にやるか?どっちが先でも大して変わりはないのか。その学生さんの答えはバイオプシーが先、理由はバイオプシーの方が重要だから。
私の知る限りでは、答えはセプトストミーが先で、理由はバイオプシーを先行させると、もし腫瘍からの出血がコントロールできない場合、あらかじめセプトストミーをやって髄液の交通性を確立しておかないと内視鏡下では視野を失いかねないから。一つのリスクマネッジメントである。
ところが執刀していたDr.Fが初めにやったのはバイオプシー。2,3回バイオプシーをした後静脈を噛んでしまい止血不可能になり、視野は赤く何も見ない状態に。結局小開頭手術に切り替え、顕微鏡下に止血し、セプトストミーを加えて無事終了。些細に見えるような原則であっても、守らないと患者さんの不利益になるという教科書に出てくるような出来事であった。
手術終了後、学生さんが私に尋ねた。’彼はなぜバイオプシーを先にやったのか’
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by ny402 | 2005-09-26 03:40 | medicine



小児脳神経外科医が綴る日々雑感
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