ある日の出来事

カテゴリ:medicine( 46 )

一次医療

この1,2日で見た症例から学ぶこと。

生後1ヶ月、女児。2週間前に発熱し、それ以来不機嫌。発熱した時点でprimary care physician (PCP)が診ているが、タイレノールが処方されて経過観察。2週間後、背腰部のピンホールから膿が出てきて夜中ERへ。そこから我々の所へ搬送され、深夜2時に私が診た所、dermal sinusの感染は明らか。MRIを撮ってみると脳、脊髄のほとんどのスペースに膿瘍が観察され、かなり重症。早速、手術。
日本の国試だったか、USMLEだったか忘れたが、この手の典型的な問題は繰り返し出されていた。繰り返す髄膜炎患児に対する鑑別診断の一つとして、このdermal sinusはかなり重要。まとめはこれ

3歳男児。頭痛と手足のだるさのためPCP受診。ウイルス感染後だった事もあり、Guillain-Barreが疑われ、腰椎穿刺が施行されている。この時点で不思議なのが、脊髄のMRIは撮られているのだが、CTを含めて脳の写真は一切撮られていない。2日後、手足の麻痺と意識障害が進み、その時点でCTを撮ってみたらびっくり。巨大な脳腫瘍とそれに伴う重症水頭症。それから我々の所に搬送されたが、脳室ドレナージの準備を待っている間にも意識障害が進行し結局PICUで挿管という事に。術後はテレビを見て笑うまでになっていたが、これから本格的な脳腫瘍摘出の手術が待っている。
腰椎穿刺をやる時は、もちろん施行前に頭蓋内圧亢進が無いことを確かめなければならない。医者としては常識。腰椎穿刺時に、もしこの患児に脳ヘルニアが起こったら絶対負けるだろうなと思った症例。


改めてPCPの重要性を思い知らされた2例でした。そしてこのような事は日常茶飯事に起こっている事を改めて認識させられた気がしました。
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by ny402 | 2006-05-26 12:00 | medicine

脳幹出血

最近医学的な話題から遠ざかっていたので、久しぶりにと思うがあまりいい話題ではないかも。

大人では脳幹出血は稀ではないが、小児で見られるのはあまり無い。と、思っていたら、2日間の間に2人も脳幹出血で入院してきた。一人は長期ステロイド使用例、もう一人は脳幹部腫瘍例。脳幹部腫瘍からの出血なんて稀じゃないのと思って調べてみるとこんなのにでくわす。これによると、診断時の出血例は6.25%、加療中に出血が見られるのはおよそ20%。決して無視は出来ない数字である。
今回の2例は、一般的に言えばどちらとも手術適応は無く、我々も何もしなかった。これも一種のEBMに基づくジャッジだと思うが、本当にそれで良いのかと思うこともある。
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by ny402 | 2006-05-19 18:00 | medicine

脳神経外科志望減

今週末のon-callでの出来事。
我々が以前手術した児が、別の病気で別の病院に入院しているようです。その親から2度電話がありました。要はその病院に対する不満の電話だったのですが、それを我々に言ってこられてもちょっと困るな、という感じです。親御さんの、誰かに聞いてもらいたい気持ちは理解できるのですが、1回目の電話が土曜日の午後4時、2回目が日曜の早朝4時。ちょっとな、という感じです。
こういう事はどの科でも起こるでしょうが、こんな些細なことの積み重ねがこういう事につながるのでしょうか。
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by ny402 | 2006-05-14 21:00 | medicine

スライド

今週末東京で開かれる学会に今のボスが招待されている。そこでスライドを日本語にしてくれと頼まれた。出発10時間前に、しかも100枚くらい。ランチョンセミナーでしゃべる臨床のスライドと、特別講演でしゃべる基礎研究の2セット。当然全部は出来ないが、少しばかりやる気を出してやっつけ仕事で仕上げてしまった。40枚ある臨床のスライドは名前まで日本語にしてあげたので英語の比率はほとんどゼロである。どうせアドリブでしゃべるんだろうけど、スライドには英単語が出てこないので大丈夫かな、ちょっと心配だな。
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by ny402 | 2006-05-09 21:00 | medicine

presentation

来週ちょっとしたプレゼンテーションがあるのでその準備中。 昔のスライドを集めて、80枚のスライドを削ったり、合わせたり、煮たり焼いたりしながら40枚にする。予定は30分なので、少し多いがまあこれくらいならいいだろう。最近、プレゼンなどやっていなかったら、1分間何語のスピードでしゃべればいいのか忘れてしまった。 そこで昔の発表のdraftを見ると60 words/minでしゃべっていたらしい。ということで今回もそのスピードで行く事にして、draftを書き始める。 ジョークや世間話まで用意して練習した上で発表するのが理想だが今回はそこまで行くかな??
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by ny402 | 2006-04-17 18:00 | medicine

レベル

毎週木曜日にあるGround Roundは、通常レクチャーやM&Mが行われるのですが最近2回にわたって行われた講義が面白かったので紹介します。
といっても純粋な医学のことではなく、Medical Necessityの話でした。
昨年いた施設ではこんな話は聞いたことがなかったので、所変わればといったことでしょうか。

講義の中では色々触れられていましたが、つまるところいかにお金を取るかという話のようでした。そのためにしなければならない医療行為は何で、何と何はレコードに残されていなければならない、などという話。

たとえば、
複雑な手術の場合で、アテンディングが2人入った場合、手術料が高く請求できる。そのためにはOpe Noteの中に手術の内容が記載されていて、かつModifier79が適応できるなどと記載されている必要がある、など。
また、外来やコンサルトで患者さんを診た場合、診察にレベルがある事を何人の人が知っているでしょうか。レベルは1から4まであり、簡単に言うとレベル1は本当に必要最低限の診察。レベル2は一通り丁寧に診察。レベル3であるためにはヒストリーは何項目以上の要素が入っている必要があり、review of systemは8器官以上に渡って、それぞれについて何項目以上が必要などと決められているようです。面白いのはレベル4は、レベル3の水準に加えて患者さんとface to face、顔をつき合わせて30分以上話をするとレベル4になるようです。そういえば、45分間、話をしたなどと書かれたClinic Noteをよく見かけます。今まで意味が分からなかったのですが、そういう事だったのかと納得しました。もちろんレベルによって診察料が違います。どれ位違うかは計算が複雑すぎて理解できませんでしたが、たとえばレベル4はレベル1の4倍高い診察料になるといった感じです。難易度に拘らず誰がやっても手術料は同じという意見には反対な私には、結構リーズナブルに聞こえました。
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by ny402 | 2006-03-13 04:07 | medicine

先週末

は医師国家試験だったようですね。 まだつい最近受験したような気でいるのですが、よく考えてみるともう十数年前の出来事になってしまいました。 当然のことながら、医師として働き始めてからの方が大変だし大切だと思うのですが、受験する当事者にとってはストレスフルな試験に違いありません。受験生だった方、お疲れ様でした。
そんな折、こんな記事を見かけます。 科は違いますが、同じ小児医療に携わる者として考えなければならない問題だと思います。 社会、時代を反映して、ある科を希望する医学生が増えたり減ったりするのは仕方がないとしても、小児医療に希望をもって進んだ人たちが、燃え尽きて自分の選んだ道が間違っていたと考える事がなきよう我々は早急に手を打たなければなりません。
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by ny402 | 2006-02-22 12:44 | medicine

そんなものか

この前の週末の事。
on-callだったのですが、やけに暇でした。入院している患児が一挙に退院した事もあるのですが、ERに来るような緊急や外からの問い合わせが一件もありませんでした。勝手に推測すると、それはおそらくスーパーボウルのせいだと思います。
地元シアトルシーホークスはスーパーボウル初出場。週末にはシーホークスカラー、ブルー、シルバー、グリーンの色が入った洋服を着たり、何かを身につけている人が病院にもたくさんいました。街中はもっと熱狂的だったでしょう、たぶん。残念ながら負けてしまいましたが、シアトル中がお祭り騒ぎでした。試合が終わった8時過ぎから、其れまで閑散としていたERが急に込み始めました。また、翌日、月曜日は何時にもなく込んでいます。やっぱり試合が終わるまで待っていたような感じです。病気も社会現象に影響されると思った週末でした。
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by ny402 | 2006-02-09 11:37 | medicine

働きたくない人は何科を選べばよいか?
先日耳鼻科といっしょに手術をしていた時聞いた話で、ある医学生がその耳鼻科の先生に相談したという。皆の意見は、病理、皮膚科など。
医者のQOLが叫ばれるようになって久しいアメリカでは、忙しい、きつい科のなり手は年々減少している。心臓血管外科、脳神経外科などどう考えてもQOLが低く、訴えられる確率が高い科は学生からは嫌煙され、もはや負け組といったところか。
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by ny402 | 2006-01-30 04:57 | medicine

foster parents

先日のクリニックでの話。
3歳の黒人の男の子が母親に連れられて来院。でもどう見てもbiological motherではなさそう。アナムネと以前の記録から、この母親はfoster motherと判明。しかもよく聞くとこの夫婦には子供が9人いるらしい。biological relationshipのある子供は3人、他の6人はadaptedあるいはfosterの関係にあるとの事。この国のdiversityのひとつと言うところか。

でもなぜ6人もか、それはこの6人の子供たちには何らかの病気があり、そうなるとやはりアメリカといえども引き取り手は極端に少なくなる。来院した男の子も糖尿病のためインスリン注射を行わなければならず、foster parentsにはかなりの精神的負担が掛かる事になり、結局何人にも断られた末このfoster parentsに決まったとの事。色々な家族形態があるものだとまたまた感心すると共に、このfoster parentsに2どころか3 thumbs upを送った日であった。
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by ny402 | 2005-12-30 12:34 | medicine



小児脳神経外科医が綴る日々雑感
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