ある日の出来事

<   2005年 10月 ( 4 )   > この月の画像一覧

臨床判断

この判断力を養うために何年も研修し、勉強しているわけだけれども、これがはっきり言って難しい。科学的根拠、臨床的エビデンス、社会的背景、コストパホーマンスなどなど、いろいろな事を考えて判断しなければならない。
我々の例でいえば、椅子から落ちて頭を打った子供のCTを撮るかどうかとか、頭痛を訴える子供に更に検査を追加するかどうかとか、いつ手術をするかとかどのアプローチを使うかとか、枚挙に暇がない。
リスクマンジメントという観点に立つと、decision making treeがありプロトコールが決まっている事が望ましい。1日目のレジデントであろうと30年目の医師であろうと同じ判断をする事になる。極端な例としては、椅子から落ちて頭を打った子供を救急外来で見たとき、一律にCTを撮るという方法である(落ちた高さが10cmであっても100cmであっても、落ちた所がコンクリートの上であっても芝生の上であっても)。これはアメリカ的な考え方というべきか?
これに対し、もう一つの方法はcase by caseで決定する方法である。ヒストリーを取り、身体所見、神経学的所見をとって自分の知識と経験を元に総合的に判断し、CTを撮るかどうかを決定する。これが本来あるべき姿だと思う。優れた臨床医やmentor達がそうやっているのを見たし、業、アートとしての医療技術はこう伝承されるべきだと思う。しかしコストや訴訟などの観点からそうも言っていられないのも事実である。
[PR]
by ny402 | 2005-10-25 09:59 | medicine

視力回復

先週末に紹介されてきた患児。1年位前から頭痛が時々あり、先月中旬には左眼はほとんど見えなくなっていたらしい。そこで眼科に行ったのだが、原因不明といわれたと家族はいう。視力低下は眼疾患だけではなく、頭蓋内疾患でも起こることぐらい眼科医なら知っているはずだけれども、CTも撮られる事無く経過。このような類の症例が多いような気がするのは気のせいか?
結局頭痛のため小児科を訪れ、CTで脳腫瘍が見つかって紹介されてきた。入院時には左眼の視力は20/800, ブラインド状態。月曜日に手術が行われ、(この手術法に文句があるのだけれど、これはまた後日)翌日には20/30まで回復。とりあえず機能回復ということで良かった、良かった。
[PR]
by ny402 | 2005-10-20 12:51 | medicine

on callのまとめ

前回書いたように、先週の金曜日からon callをやっていました。前半は手術もなく平和に過ぎたのですが、木曜 金曜と合計で7つ手術をしたので土曜日には13人くらい患児が入院していました。そのため金曜の夜から日曜の朝にかけてbeeperがなりっぱなしという状態、100回くらいなったんじゃないかな、という感じ。内訳は、患児一人に尽き最低でも4回くらいはなる。これで13x4=52回。患児の家族からの問い合わせが10件くらい、コンサルトのお願いなどが10件くらい、ERからが20回くらい。特別トラブルなど起こりませんでしたし、緊急手術もなかったので良かった、良かった。
病院によってシステムの違いがあうようで、ここの病院は、日本のように脳外の患者は脳外科医が診ます。マイアミでは、小児科のレジデントが外科系の患児にも係わるようなシステムだったため、術後の患児であっても熱が出たとか、頭が痛いなどのコールは小児科レジデントが対応していました。そのため、我々はその類のコールからは逃れる事が出来ましたが、ここではそれらが全てon callに掛かって来ます。まずこれに対応するだけで大変。しかも個人的な感想としては、ここでは些細な事でも気軽にコールするようである。そのためか的外れなコールも結構掛かってくる。大げさにいえば、泣いていた患児が笑った、といった類のコールが時々掛かってくる。そんな事を書いていたら、またコールが。チャートに書いてある字が読めない、って、それは私が書いた字じゃないんですけど。字体が違っているんだから、少し考えれば分かるでしょ。
[PR]
by ny402 | 2005-10-17 10:43 | medicine

シアトルはもうすっかり秋である。街の木々も紅葉していて、朝晩はもう寒い。我々にとって秋といえば学会シーズンで、今週は日本で脳神経外科学会が開催されたし、来週はボストンでアメリカのコングレスが開かれる。ということで皆でかけてしまって、Dr. Oと二人で留守番をしている。マイアミの時のようにまた10日間連続の0n-callとなりました。どうなることやら。

金曜日の夕方そんな事を思っていたら、いきなりシャント不全の患児が二人もERに来てしまった。結局二人とも手術となり、帰宅したのは深夜だった。その内の一人はアラスカから来たのだけれども、頭痛を訴えて半年くらい前から地元の病院に行っていた。そこでは偏頭痛と診断され、抗うつ剤が処方され、CTも撮られることなく外来通院となっていた。結局患児は今週の月曜日からかなり具合が悪くなり、搬送された日には無呼吸も起こすようになっていた。CTは、正常の範囲内だけれども、以前のスリットな状態にに比べるとやや大きくなった脳室を示していた。小児脳神経外科医が見ればシャント不全だと容易に診断がつく。しかしそれ以外の医師にとっては難しいということか。

患児は今朝にはもうすっかり元の状態に戻り、母親は笑顔になっていた。週明けにはアラスカに帰れるでしょう。
[PR]
by ny402 | 2005-10-09 10:25 | medicine



小児脳神経外科医が綴る日々雑感
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
カテゴリ
以前の記事
フォロー中のブログ
profile
名前:
Pedineuro (ny402)
職業:
Pediatric Neurosurgeon


Blogを引越しました。
旧Blogはこちらへ

その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧