ある日の出来事

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つづき

昨日書いた記事にusskhawaiiさんからコメントを頂きました。お返事が少し長くなりそうなのでここに書いてみようと思います。

もちろん、頻度の高い疾患から鑑別しなければならないと思います。
アメリカでの教育の優れてる事のひとつにsystematicに考えさせるということがあります。発熱を診たら、鑑別診断として 1oooo, 2@@@@, 3####.....と並べ、得られた情報を基に絞り込んでいきます。そして鑑別診断1を証明するためには、a$$$$、b****、c+++++....という検査が必要で、鑑別診断2のためにはa$$$$、b****、c+++++....という検査が必要、という風に考えろと教わります。もちろん常にこういうやり方をしている訳ではないのですが、大切な考え方だと思います。学生の時、内科診断学の時間に同じ事を教わったような気がしますが、身についていなかった私は昨年マイアミでこの事を思い知らされました。今回のケースではdermal sinusは頻度は少ないけれども見逃してはいけない疾患だと思います。

同じような考え方をすると、腰椎穿刺の前にはICP亢進をr/oしなければならないと言う事を思いつく事が大切で、その方法は何でもよいのではないでしょうか。眼底を見る、ant. fontanelleを触る、CTを撮る、など。眼底などの身体所見のみで診断するのが出来る医者の本来の姿なのでしょうが、実際には最近のCTは撮像時間がほんの2,3秒だし、記録も残るし、ということでCTを撮る事が多いと思いますが。
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by ny402 | 2006-05-28 04:32 | medicine

一次医療

この1,2日で見た症例から学ぶこと。

生後1ヶ月、女児。2週間前に発熱し、それ以来不機嫌。発熱した時点でprimary care physician (PCP)が診ているが、タイレノールが処方されて経過観察。2週間後、背腰部のピンホールから膿が出てきて夜中ERへ。そこから我々の所へ搬送され、深夜2時に私が診た所、dermal sinusの感染は明らか。MRIを撮ってみると脳、脊髄のほとんどのスペースに膿瘍が観察され、かなり重症。早速、手術。
日本の国試だったか、USMLEだったか忘れたが、この手の典型的な問題は繰り返し出されていた。繰り返す髄膜炎患児に対する鑑別診断の一つとして、このdermal sinusはかなり重要。まとめはこれ

3歳男児。頭痛と手足のだるさのためPCP受診。ウイルス感染後だった事もあり、Guillain-Barreが疑われ、腰椎穿刺が施行されている。この時点で不思議なのが、脊髄のMRIは撮られているのだが、CTを含めて脳の写真は一切撮られていない。2日後、手足の麻痺と意識障害が進み、その時点でCTを撮ってみたらびっくり。巨大な脳腫瘍とそれに伴う重症水頭症。それから我々の所に搬送されたが、脳室ドレナージの準備を待っている間にも意識障害が進行し結局PICUで挿管という事に。術後はテレビを見て笑うまでになっていたが、これから本格的な脳腫瘍摘出の手術が待っている。
腰椎穿刺をやる時は、もちろん施行前に頭蓋内圧亢進が無いことを確かめなければならない。医者としては常識。腰椎穿刺時に、もしこの患児に脳ヘルニアが起こったら絶対負けるだろうなと思った症例。


改めてPCPの重要性を思い知らされた2例でした。そしてこのような事は日常茶飯事に起こっている事を改めて認識させられた気がしました。
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by ny402 | 2006-05-26 12:00 | medicine

baseball

シアトルに着てからの懸案だった野球観戦に出かけてきました。
この前野球観に行ったのは何時のことやらなどと考えてみると、トロントにいた時ブルージェイズの試合を観に行ったなあ、と思い出します。この2,3年は実験、試験勉強、臨床と精神的余裕が無く、折角NYにいたにも拘らずヤンキースやメッツを観に行けませんでした。

試合は、これといった見せ場は無く、淡々と進んでマリナーズの勝利。イチロー1安打、城島1ホームランと活躍していました。
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by ny402 | 2006-05-21 09:00 | daily life

脳幹出血

最近医学的な話題から遠ざかっていたので、久しぶりにと思うがあまりいい話題ではないかも。

大人では脳幹出血は稀ではないが、小児で見られるのはあまり無い。と、思っていたら、2日間の間に2人も脳幹出血で入院してきた。一人は長期ステロイド使用例、もう一人は脳幹部腫瘍例。脳幹部腫瘍からの出血なんて稀じゃないのと思って調べてみるとこんなのにでくわす。これによると、診断時の出血例は6.25%、加療中に出血が見られるのはおよそ20%。決して無視は出来ない数字である。
今回の2例は、一般的に言えばどちらとも手術適応は無く、我々も何もしなかった。これも一種のEBMに基づくジャッジだと思うが、本当にそれで良いのかと思うこともある。
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by ny402 | 2006-05-19 18:00 | medicine

脳神経外科志望減

今週末のon-callでの出来事。
我々が以前手術した児が、別の病気で別の病院に入院しているようです。その親から2度電話がありました。要はその病院に対する不満の電話だったのですが、それを我々に言ってこられてもちょっと困るな、という感じです。親御さんの、誰かに聞いてもらいたい気持ちは理解できるのですが、1回目の電話が土曜日の午後4時、2回目が日曜の早朝4時。ちょっとな、という感じです。
こういう事はどの科でも起こるでしょうが、こんな些細なことの積み重ねがこういう事につながるのでしょうか。
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by ny402 | 2006-05-14 21:00 | medicine

スライド

今週末東京で開かれる学会に今のボスが招待されている。そこでスライドを日本語にしてくれと頼まれた。出発10時間前に、しかも100枚くらい。ランチョンセミナーでしゃべる臨床のスライドと、特別講演でしゃべる基礎研究の2セット。当然全部は出来ないが、少しばかりやる気を出してやっつけ仕事で仕上げてしまった。40枚ある臨床のスライドは名前まで日本語にしてあげたので英語の比率はほとんどゼロである。どうせアドリブでしゃべるんだろうけど、スライドには英単語が出てこないので大丈夫かな、ちょっと心配だな。
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by ny402 | 2006-05-09 21:00 | medicine

日韓友好

本国同士は最近もめていた様ですが、アメリカで暮らす我々は庶民レベルで親交を深めています。シアトルはアジアコミュニティーが発達していて、アジアから来ている人々にとっては住みやすい都市といえるでしょう。
昨日は、妻がESLで知り合った日韓の友達を中心にそれぞれ5,6家族が集まりポトラックパーティーでした。 持ち寄る料理も似ているし、話題や価値観も共通のものが多い、と改めて感じます。 お互い国を離れて住んでいても、最も近い国という意識があるように思われました。一足お先に庶民レベルの交友でした。
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by ny402 | 2006-05-07 08:00 | daily life



小児脳神経外科医が綴る日々雑感
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